新卒で入社した会社を比較的短期間で辞める。それは当たり前の時代となりました。働き方の多様性が認められ、「石の上にも三年」はもはや時代遅れの言葉となっています。
しかし、現実問題として新卒で入った会社を数ヵ月や1年といった勤続期間で転職活動をしていても、よほど優秀でなければ大手企業や老舗企業への入社は狭き門となりますよね。書類選考すら通らないのが普通なのではないでしょうか。
そんなときに選択肢に入るのがベンチャー企業やスタートアップ企業といった若い中小企業。ちなみにベンチャーとスタートアップって一応別の定義があるらしく、ベンチャーは既存のビジネスモデルから生まれた事業であるのに対しスタートアップは革新的で新奇性あるアイデアを軸にした事業なんだとか。
ベンチャー企業やスタートアップ企業の社員って、Vネックの白シャツに紺のジャケットを羽織ってちょっとくるぶしの出た丈の短いタイトなパンツに短い靴下、靴はとがった茶色い靴、片手に常にノートパソコン、みたいなイメージなのは僕だけですかね。
そんな社員がうじゃうじゃいる正真正銘の「ゴリゴリベンチャー」に正真正銘の「ゴリゴリコミュ障」が第二新卒で入社した末路を紹介したいと思います!
ちなみにはたから見たらベンチャー企業なんですけど自称スタートアップ企業でした。
第二新卒で転職した経緯
私は新卒で入社した会社では土木作業員のような体力仕事に従事しており、体力が限界を迎えたので1年経つくらいのころに転職活動をしていて内定の出た会社に入社を決めました。それが本記事の主役となるゴリゴリベンチャーです。
選考では私の直属の上司となる部長と一次面接、その後本社にいる社長とリモート面接をしました。社長は40代くらいのおじさんでした。
無事に内定が出て入社日等のやりとりを行う段階で、面接で聞いていた話と異なる話が出てきたり、入社後の研修について二転三転するようなことが発生したのですが、なにぶん一社目もまぁひどい会社だったので、当時はまぁこんなものかと気にも留めませんでした。
ベンチャー企業入社直後
そして迎えた入社日。初めての転職、初めての中途採用者としての出社ということで緊張します。スーツで出社すると「スーツで来たwww」と笑われました。うん、アットホームな会社だよね、悪い意味で。
そして入社3日目には歓迎会がありました。社長が目の前だったか横だったかとにかく近い席で、乾杯の直後に私に急に「それで社不くんは男の人が好きなの?」と聞いてきました。私が適当にかわしたり、周りの人が気を遣って話題を変えようとしていたりする中で、「いや、変な意味じゃなくて、うちの会社は多様性を認めるから」だとか何とか言って意地でも聞き出そうとしてくる社長。うん、アットホームな会社だよね。悪い意味で。
入社直後は毎日ランチに誘われました。余談ですが私は会社の人と行くお昼ご飯がとても嫌いです。一度嫌すぎて「お腹が痛いので今日は遠慮します」と断ったら誘われなくなりました。断る勇気ってとても大事ですね。
先輩社員にご飯に誘われる
元リク〇ートの高圧的な先輩社員がいて、私の入った部署ではなかったのですが入社直後にその先輩社員の部署の新入社員も含めて夜ご飯に誘われました。
ご飯中は聞いてもないのにその先輩社員社員が前職でどれだけ活躍していたか自慢とか今の会社で社長に信頼されてる自分アピールがすごくて、火鍋の唐辛子の行方を眺め続けて時間を潰した記憶です。
しかも普通に割り勘でした。社長に信頼されてるけど新人をご飯に自分から誘っておいて奢ることもできないほど給料は低いんですかね。別に奢ってほしいとは思わないんですが、こっちは他部署の先輩社員と終業後にご飯に行きたいなんて1mmも思ってないしそんな時間あったら1秒でも早く家に帰って休みたいのに入社直後に誘われたら断れないじゃないですか。自分からわざわざ10歳以上も年下の新入社員をご飯に誘って、ぴったり割り勘なんてダサいことするくらいならご飯なんて誘わなきゃいいのに。ちなみに酒なしでした。
まじで時間とお金の無駄、新人は先輩社員とご飯に行って交流を深めたいと思ってるんだとしたら時代遅れすぎます。
研修
研修というのは名ばかりで、基本的に放置でした。先輩や上司に「何かやることありますか」と聞いても「特にないです」と一蹴され、社内ニートとなりました。私と同じ支社にもう1名同期入社の社員がいたのですが、2人して同じ状況となり、なんでやらせることないのに2名も入れたんでしょうねとか言い合ってました。
本社にも同時期に入社した社員が何人かいて、その新入社員と各役職社員と社長の入ったグループチャットが作成され、毎日そこに1日の業務や研修内容を送り合うという制度が課されたのですが、当然送れる業務はありません。適当に勉強とか入れて送っていると、私とは全く関係ない部署の本社の上司に飲みに連れていかれ、今の状況はもっと積極的に仕事を聞きにいかない私のせいだと説教されました。
お前に関係ないだろクソ野郎、部署も支社も違うお前にこの状況の何がわかるんだ。その人は前職で割と有名な大企業に勤めていたらしいのですが、聞いてもないのにやたらその社名を口にしていたのを覚えています。でもその人が何をしているの人なのかはよくわかりませんでした。
総会
そんなこんなで色んな人の余計な干渉に悩まされながらのらりくらりと過ごして数ヵ月、全社総会が開かれ、本社に全社員が会する日がありました。会社のスローガンが発表されて、それがもう忘れちゃったんですが流行りのSNS言葉を無理やり入れ込んだなんか恥ずかしい感じのやつでした。会社方針の説明もベンチャー企業が好きそうなカタカナがふんだんに盛り込まれていて(ローンチとか)、すごく分かりにくかったです。
総会が終わったあとは意味のない写真撮影をしました。この撮影のためにカメラマンをわざわざ外注してました。後日総会の報告として会社のホームページとかフェイスブックとかに、現実とは相いれないとてもキラキラして素敵な写真が更新されてました。うーん、こうして架空のイメージが造られるんだな。広報って罪ですね。ベンチャー企業の内情を目の当たりにした瞬間でした。
BBQ
総会の夜は飲み会でBBQです。元リ〇ルートの高圧的な先輩社員が仕切っていて、新人に「早く野菜切れよ!」とか「皿配れよ!…ったく、気利かねーな」とか言ってる地獄のBBQ。
BBQって「私、気を遣えます率先して動けます」のお披露目会なんでしょうか。皿を一秒でも早く配れる人間が偉いんですか?肉くらい自分で取ったらどうですか?そもそも好き嫌いとかアレルギーとかあるのに他人に好き勝手配食するのはほんとに気が利く人間のすることなんですか?BBQ会場は法人を出禁にしてほしいくらい会社のBBQというものが嫌いになった日でした。
日記リレーでコミュ障爆発
社員のコミュニケーションを促進するとかなんとかで、本社・支社の全社員が入ったグループチャットが作成され、そこに毎日誰かが日記を投稿して、次の日に投稿する人を指名するという日記リレーが始まりました。
私も一度指名されたのですが、忘れた体にして投稿していなかったら、「できなければ代打を指示して」みたいな連絡が来て、それも無視していたら私の存在はなかったかのようにその日の夜に別の人が日記を投稿していました。
末路:部署ごと別の会社に売られる
そんなこんなのイベントを迎えながら、引き続き社内ニートに勤しんでいました。しかしある時会社の資金調達のために部署ごと別会社に売り飛ばされ、ベンチャーのべの字もないような会社に転籍することになりました。こうして幸か不幸かベンチャー企業の勤務は終わりをつげ、しかし社内ニートであることに変わりのない日々を送り続けたのが私の第二新卒転職の結末です。
まとめ!会社選びは慎重に!
以上、私のベンチャー企業入社体験談でした。
この話は私の一体験談に過ぎず、とても極端な例です。別に世の中の会社のベンチャー企業がすべてこうだなんてことはありません。しかし、自分のことをやたらベンチャーだのスタートアップだのとアピールをしている企業には部分部分で通ずるものがあるのではないでしょうか。