短期離職をすると、退職理由をどう伝えようか悩みますよね。
お察しの通り、短期離職をすると大抵の面接官は穿った見方をしてくるので、納得してもらえる伝え方をする必要があります。色々な事情や本音がありますが、面接に通過するために建前の理由を使い分けていくことが大切です。
この記事では短期離職の経歴を引っ提げ多数の面接を受けてきた筆者が、実体験をもとに面接に通過するために気を付けたいことや理由の考え方、具体的な解答例を紹介します。
そもそも短期離職って3年以内の離職を指すそうですよ!とすると私は29歳で既に短期離職を3回経験しているのですが、それでも仕事は見つかるのでご安心ください。
やっぱり短期離職をすると面接で触れられる?
基本的には面接で短期離職の理由を必ず聞かれると思いましょう。
大手企業や大企業などでは聞かれる可能性がかなり高いです。ただし、書類選考は通過しているから面接にたどり着いているわけなので、過度におびえる必要はありません。
一方で、ベンチャー企業や従業員数の少ない中小企業では、短期離職に全く触れることなく面接が終了するケースもあります。
特に設立間もないベンチャー企業はフランクに面接が進行し、仮に触れられたとしても軽く流せる場合も多いので、短期離職にあまり突っ込まれたくない方はそういった企業中心に攻めるのも一つの方法です。
短期離職は面接でどんな風に聞かれる?
一昔前に比べればあまりネガティブな聞き方はされなくなりました。
以前は入社して1年も経過していないと「1年も経ってないのに仕事の何がわかるんだ」なんて平気で言ってくる面接官もいました。しかし何かと炎上しがちなこのご時世、まともなコンプライアンス意識を持った会社であれば「半年という比較的短い期間で退職されているようですが…」といった風に控えめに理由を促す聞き方をしてくると思います。
全く触れてこない会社も中にはあるとはいえ、短期離職をすると選考の通過率も低くなる傾向があり、何社も受ける必要があります。納得してもらえる理由や伝え方を事前に用意することが重要です。
面接を受ける時に備えておきたい心構え
そもそも書類選考は通過している時点で、職歴自体は不採用の要件とならなかった、あるいはその理由次第で採用の可能性があるから面接に進めているわけです。弱気にならずに自信をもって臨みましょう。
①将来へつなげる姿勢は上手に伝える
退職理由として、将来のスキルアップやキャリアアップに繋げようとするポジティブな姿勢は有効です。短期離職でもマイナス面をカバーできるでしょう。
しかし、数か月で退職してしまったり、短期離職を何度か繰り返している状態で「キャリア」や「スキル」を語ろうとすると、単に理想を追い求めすぎて現実を見れていない印象を与えかねません。
そのため、その職場でまずは自分の求めるキャリアやスキルを得られないか努力した姿勢や、それでも別の道を選択した理由を伝え、決して理想郷を追い求めるわけではないという根拠を示す必要があります。
②他責ではなく自責思考ができる面を見せる
基本的に職場に何かしらの不満があったから短期離職をしているわけですが、それをそのまま伝えるのは好意的に受け取られません。完璧な職場など存在せず、どんな会社でも大なり小なり問題を抱えているものです。「この会社でも何か自分の気に入らないことがあるとすぐ不満をため込むのではないか」とマイナス評価に繋がる可能性もあります。
そうならないためには、職場の問題を自分にも原因があったと捉えることができる面を示し、更にそれを解決しようとした試みた姿勢を見せられると効果的です。
例えば、残業時間が多い職場だった場合、単に残業が蔓延していた、と伝えるよりも、以下のように答える方法があります。
顧客からの返答がないと進行できない業務を抱えており、顧客にも催促は行なっていたものの、立場上あまり無理強いすることはできず、どうしても業務時間が長くなってしまっていた。案件の全体的なスケジュールの見直しを定期的に行っていたものの、他のメンバーや協力会社に無理を強いてしまうことになるので、自分自身でカバーしようとした結果残業が長時間になってしまい、ワークライフバランスがうまく取れなくなってしまった。
③短期離職への反省を次に生かそうとする意志を見せる
短期離職者が面接で最も抱かれがちな懸念は「またこの職場でもすぐ辞めてしまうのではないか?」ということです。その点を払拭できれば面接官の好感度アップに繋がることもあります。
そのためには、あくまで短期離職に対して「反省」していることを示し、次にまた同じことを繰り返さないようにしようとする姿勢を見せることが大切です。
「次は長く働ける職場につきたい」ことを伝えた上で、将来のできるだけ具体的なキャリアプランや身に着けたいスキルを明示できると、信頼感が高まります。
④嘘はつかない
退職理由・転職理由はすべてのベースになるものです。ここで重要なのは話を盛るのはぶっちゃけアリでも全くの嘘はつくべきではありません。
1を3くらいで話すには不都合は起きにくいものですが、0を1にするにはボロが出やすく、つじつまが合わなくなったときの軌道修正が難しいです。
経験した業務のレベルを偽るのと、そもそも経験してない業務を経験したかのように話すのは天と地の差があります。また、嘘の内容によっては経歴詐称として解雇事由になりますので、偽ることはやめましょう。
ただし、盛るのが通用するのは異なる職種への応募に限られます。また、経歴を盛りすぎると入社後自分の首を絞めることにもなりかねないので、盛りすぎには注意しましょう。
退職理由の鉄則:志望動機から逆算する
退職理由を考える際の基本は、志望動機とリンクさせることです。
何かの専門性を身に着けたくて仕事を辞めた人が、総合職の求人に応募してきても、「いや、そもそも専門性を身に着けられるポジションじゃないけど?」となってしまいますよね。
退職理由を解決するための転職なわけですから、志望動機との因果関係がはっきりしていないと疑問を持たれてしまいます。つまり受ける求人によって退職理由をアレンジする必要があります。
おすすめ理由①幅広い業務を経験したい/専門性を身に着けたい
まず汎用性が高く使えるのがこの理由。雑用ばかりで仕事がつまらない、単純に仕事がきついから別の仕事を経験したいという人から、ノルマがきつくてついていけないという人までアレンジの仕方で納得感を持たせることが可能です。
「現在の仕事では特定の専門性は身につくものの業務領域が狭く、早いうちから幅広い職務に携わり様々な立場を経験することで、広い視野をもって物事を判断する力を身に着けたいと思った。」
「現在の仕事では広く浅くといった職務が中心で、一定以上の専門性は身に着けることができない。自分の将来を考えたときに、早いうちから一定の専門領域を強みにしていきたいと考えた。」
などの伝え方が考えられます。また、この際「その会社のポジション転換では実現できないのか」という疑問に対する答えとして、
「ポジション転換を願い出たが現状の人員配置や事業拡大の見込みから将来的なキャリアチェンジも難しいと却下された」
「そもそも専門領域は外注しておりノウハウを持ち合わせていない自社では経験することは不可能」
などを織り交ぜて伝えると納得感は高まります。短期離職の場合、短い在籍期間で何が分かるんだ、というニュアンスの反応が返ってくることもあります。その際は先輩社員の業務内容などを見てその判断に至ったなどの逃げ道が有効です。
おすすめ理由②身に着けたスキルに磨きをかけたい
経験職種や業種に関連性のある求人を受ける場合に使えます。例えば営業職や販売職に携わっていた場合、ここで培った対人能力はどんな職務にも活かせるものです。
短い期間でも身に着けた知識やスキルを別領域で活かしながら、更なる高みを目指そうとする姿勢は向上心のある人材と高評価につながります。
「現在の仕事では対個人の営業のため、お客様1人1人に合わせた提案力を身につけられた。ここで培った対人スキルを活かしつつ、対法人の営業を経験することで、長期的な信頼関係の構築や問題解決能力を身に着けたい。」
「現職では事務処理能力のスピードや正確性を高めることができた。今後はその事務処理能力をベースにして、業務効率の改善提案や施策実行といった経験を積みたい。」
などの伝え方が考えられます。
おすすめ理由③長く安定して働ける職場で勤めたい
短期離職者が使って損のないキラーワードが「長く安定して働ける職場に努めたい」です。企業側も採用したからには長く働いてほしいという希望があるためお互いの利害が一致します。特に人数の少ない会社・部署であるほどこの言葉は刺さります。
この時、なぜ現職では長く働くことができないのか、それをその会社なら実現できるという考えに至った根拠を示す必要があります。
大体この志望動機の背景には、長時間の残業や休日出勤の多さなど、長く働くには支障がでる本音があると思います。
長時間の残業や不規則なシフトに関してはそれを素直に伝えて問題ありません。それを怪訝に思うような会社であれば仮に内定を受け入社したところでまた同じような結末になる可能性が高いため、躊躇せず話しましょう。
但し、「それ入社前にわかってたんじゃないの?」と思われないような伝え方をする必要はあります。入社前に確認した条件と実際の状況が食い違っていたという主張をあくまでもさりげなく盛り込むとよいでしょう。
「現職では入社前に聞いていたよりも長時間の残業が日常的に発生しており、急な休日出勤を強制されることも多い。職場の雰囲気としてそれを断ることができるような状況ではなく、今後長く勤め上げることを考えた時に自己啓発に充てる時間も確保しながら安定して働きたいと思った。」
などです。求人内容からその会社で長く働けそうな文言を活用するのもよいと思います。
おすすめ理由④他者と協力関係を築きあげたい
私も幾度となく人間関係を一因として退職してきていますが、人間関係については理由として話さないことが無難です。
どんな職場でも大なり小なり人間関係の問題はあります。社内外どこかしらに厄介な人間は存在するので、人間関係の悪さがよほどその職場に起因するものであったということが客観的に話せなければ、ここでも同じような不満を抱いてしまうのでは…と懸念材料になります。
実際これまで私も人間関係を理由に話したことは何度もありましたが、まず良い反応はされませんでした。
そのため、言い換えとして下記のように現在の職場の他者との関わり方やコミュニケーションに問題があることをふわっと盛り込んだうえで、自分が働きたい環境に着地させる伝え方がよいでしょう。
「現職では業務分担を徹底している一方、その業務の進め方が属人化されており、担当業務以外に経験を積むことができずルーティンワーク化してしまっている。そのためノウハウを共有し合える環境で自身のスキルアップを図り、会社に必要な存在になりたいと思った。」
「現在の会社では個々人に任せられる職務範囲が広い一方で、他のスタッフとの連携やフォローといった文化が醸成されておらず、もっとチームワーク力が必要とされる業務で他者との協力関係を築き上げながら成果を目指す業務に就きたいと思った。」
などの伝え方が考えられます。
まとめ:上手に使い分けて選考通過を目指そう!
以上、短期離職者でも使える退職理由を紹介してきました。
お伝えしてきたように、退職理由は志望動機にリンクするよう、求人によってアレンジするのが有効でしょう。
もちろんそれが面倒くさいのは100も承知です。いちいち文面なんて作り変えてらんないですよね。
ですがこれは、転職を成功させるため…とかきれいごとではなく、面接には貴重な時間と交通費をかけて臨んでいるわけなので、どうせなら効率的に選考通過を目指したいという社会不適合者なりの現実的な理由があります。(笑)
この記事で紹介したことが少しでもお役に立てますと幸いです。