出勤したはいいものの仕事を任されず宙を見つめ時間が過ぎるのを待つ日々。休日の昼下がりであればそれは優雅に過ごせそうですが、ここは職場。ただただ「仕事をしてるフリ」をして取り繕う時間は苦痛でしたありません。
社内ニートになってしまうと精神的にしんどいですよね。「仕事しないで給料もらえるなんて最高じゃん」と気軽に言う人もいるのですが、社内ニートの辛さは経験した人間じゃなければわからないでしょう。
人間、なんの達成感も充実感もない時間をひたすら過ごすというのは想像以上にきついんです。何の知識もスキルも身につかず、自分の中に積み重なるのは将来への不安。生活できないほどの給料ではないけれど、昇給も賞与も期待できず、周りからは「あいつ何やってんだ」的な視線を向けられる。
とにかく気まずいんですよ。そして自分を責めてしまうことも。でもね、社内ニートになるのは絶対的に会社及び職場のせいなんですよ、どう考えても。「社内ニートは自己責任」なんて言う人もいるんですが、私は全社内ニートの味方。そんな都合よく働いてくれる人間が欲しいんだったらちゃんと面接段階で見抜けよって話だし、そもそも人を雇うな。貴重な時間と交通費かけてわざわざ面接に運んでいるんだから。なんのための「選考」なんですか。
まぁそれはさておき、私は長年いくつもの職場で社内ニートを経験する中で、社内ニートが生まれてしまう職場にはいくつかの共通点が存在することに気が付きました。本記事ではその特徴をまとめます。

私は面と向かって「どうせ暇でしょ?」と言われたことも何度もあります。うるせー!
社内ニートが生まれる職場の特徴
①人事責任者と配属部署の意思疎通が図れていない
まず社内ニートが生まれる職場の最たる例として挙げられるのがこれです。人事責任者、つまり会社の代表取締役とか人事役員とか、採用をしよう!と決める人と、いざ採用した人が配属される部署との連携が取れていないというパターンです。
配属部署的には人員増加など全く望んでいないのに、会社の上層部が勝手に人を雇って配属してあとはその部署によろしくね、と丸投げして終わりというのはよくある話なのではないでしょうか。
会社が現場の状況を特に考慮せずに人を採用するのには色んな理由が考えられますが、以下のような理由が挙げられるでしょう。
・経営者の理想の1人走り
・「残業が多いのは人手不足」という安直な考え
・純粋に経営者と配属部署の仲が悪い
・退職者が出たときの人員ストック
・雇用創出関連の補助金目当て
1つずる見ていきましょう。
経営者の理想の1人走り
経営者には事業を拡大して売り上げを伸ばしていきたいという当然の願望があると思いますが、事業の拡大には様々な計画が必要です。もちろん人員補充も大事な1要素ですが、そもそもの事業計画や市場分析、資金計画など、会社を経営するにあたってのあらゆる事項を複合的に検討しなければ勝手に事業が大きくなるということはありません。
もちろん経営者たるもの、この辺のことをきちんと筋道立てた上で採用に至っていると願いたいのですが、世の中にはびっくりするくらい他人任せな社長がいるのも事実です。とりあえず人を雇って現場に放り込めば、良い感じに教育して仕事も増えて売り上げ拡大していくだろうなんて他責思考まる出しな経営者だと、当然配属部署となる現場社員との連携が取れてないことがほとんど。丸投げされる職場と、入社した人の両方が苦しめられます。
「残業が多いのは人手不足」という安直な考え
働き方改革が叫ばれる昨今では、残業時間過多は会社として大きな問題となります。経営者としては残業を減らし、従業員が働きやすい会社にするのも課題の1つですよね。残業時間削減のためによかれと思って増員するということもあると思いますが、残業が多くなるのはそもそも人手不足だけが原因ではありません。
「残業代目当てであえてちんたら仕事して残業している」「自宅に居場所がないから特にやることはないけど定時後も会社に居座っている」など、従業員が故意に残業しているのはこれまで幾度となく目の当たりにしてきました。
こうした原因で残業時間が長くなっている職場では、従業員を増やすよりも基本給を上げるとか、終業後に使えるワーキングスペースを新設するとかサークル活動を取り入れるとか、福利厚生面を充実させることに資金投入するなど、従業員の意識を変えることに注力したほうが労働生産性が上がり残業も減るでしょう。
その他にも、長年の仕事のやり方に固執して効率的じゃない業務方法だったり、未だに紙ベースで仕事を進めているから無駄に時間がかかっているという場合は、そもそもの業務フローの改善やシステム構築に踏み切るのも必要です。
いずれにして長時間残業が発生している原因をよく精査せずに人を採用してしまうと、結局人員を持て余して社内ニートが生まれ、残業も減らないという悲惨な結末になってしまいます。
純粋に経営者と配属部署の仲が悪い
経営者と配属部署の仲が芳しくなく、配属部署との関係改善のために人を採用したり、最悪な会社だと配属部署に探りを入れるために人を雇って配属させ、新人に状況報告をさせるなどスパイ的要員目的で人員増加させることもあります(私もこのパターンを経験しました)。
吸収合併した会社とかだと結構あると思います。経営者はその部署の業務のことはよくわからないので口出しはできず、部署担当者もそれまでの経緯から会社上層部に因縁を抱いているというドロドロの関係。経営者は新人を出汁にしてその部署にメスを入れるのです。
選考段階でその状況や意図が説明され合意の上で入社するならまだいいですが、そんな内情を入社前に知ることはまれです。結果的に新入社員が犠牲となり苦しむのです。
退職者が出たときの人員ストック
退職者がよく出る職場だと、常に辞めたとき用のリスクヘッジとしてちょっと多めに人員を確保しておきたいというのは経営者として当然の考えでしょう。
しかしこうした職場では、先輩社員も経験が浅いことは珍しくないので、配属されたはいいものの新人教育できる人がいない状況が発生します。先輩社員もいつ辞めようか思案してたりして、新人教育どころでないため放置され、社内ニートになってしまうのです。
雇用創出関連の補助金目当て
会社の資金調達のために人員補充というパターンです。補助金の応募要件には「何人以上」という従業員数の規定が設けられていたり、支給要件には「何年後までに人員を何人以上にする」という雇用創出に関連した規定が設けられていることもあります。
こうした会社ではとにかくその補助金の要件を達成することが第一の目的なので、人を雇ってどんな仕事をさせるかは二の次です。もちろんそんな無責任な会社など存在しないと願いたいところですが、世の中にはそんなレベルで雇用してしまう会社が残念ながら存在しています。
②上司や先輩が仕事や情報を与えない
t社内ニートが発生する職場の特徴2つ目は、上司や先輩に問題があるということです。新入社員を教育して育成することができる土壌があり、その必要性のある会社にも関わらず、新人が社内ニートになってしまうこともあります。こうした職場では主に上司や先輩社員の姿勢に問題があります。
自分の立場を守るために仕事を与えない
自分の保身しか考えない人間が上司や先輩になってしまうパターンです。自分に大した能力がないことをわかっている上司や先輩は、会社での自分の立場を守ることに必死です。
新入社員に自分の仕事を渡してしまうと自分ができることがなくなってしまうので、それを恐れて部下に仕事を教えない・与えないのです。
また、情報を与えて新入社員が1人で仕事をしていくことを防ぐため、仕事に必要な情報を伏せたり、あえてややこしい状態にして新人を混乱させる悪質なケースもあります。
新人を庇う度量がないので任せない
どれだけ気を付けていても、新人はミスをしたり失敗をしてしまうものです。新人だからとそれに胡坐をかくような態度はご法度ですが、そのミスをカバーしたり時には部下の失敗の後始末をするのも上司や先輩の役目です。
こうした新人を庇う度量のない上司や先輩は、新人がミスをして自分の責任になることを恐れ、簡単な雑用しか任せなかったり、ひどい場合は何の仕事も与えないということもあります。新人がミスをしないようにダブルチェックの仕方を考えたり、フォローに気を遣うというのも上司や仕事の範疇ですが、彼らは視野が狭いため、自分の目の前の業務にしか目を向けられません。
③新人の個人的努力に頼りすぎている
一定の専門的知識が必要とされる職種では、勤務時間外に勉強しなければならないこともあります。本来的には仕事に必要な知識習得は勤務時間内に全部行えるようにしろといいたいところですが、実際はそうもいかないので、勤務時間外の勉強は必要だったりします。
しかし、明らかに業務上教えるべきことにも関わらず、それすら自分で勉強してこい、それがわからなければやらせる仕事はないという傲慢な会社があります。確かに机上で見につく知識なら自力で身に着けることも可能でしょうが、実際の機械装置の扱い方だったり業務の進め方だったりは教えてもらわなければわかることはないでしょう。
要するに社員の個人的努力に任せすぎているのです。こうした会社は人を育てる能力自体がないので、極端に従業員が少なかったりします。そんな状況で社内ニートになると職場に居場所などできっこないので、みんな早々に辞めていくのです。
まとめ:ほんとに社内ニートは自己責任?
以上、社内ニートが生まれてしまう職場の特徴でした。
もちろん色んなケースが存在するものの、職場にも一定の特徴があるのではないでしょうか。そしてこうした職場でも、社内ニートが生まれてしまうのは社員の「自己責任」なのでしょうか。